マーケティングとは、何らかの価値の交換が発生する際に、受け手起点でその媒体を分析することである。今、価値の交換について考えてみる。送り手は受け手に対して何らかの媒体や場所を利用して価値を届ける。受け手は送り手に対して対価や報酬を渡す。又、送り手と受け手の間にはしばしばノイズが発生し、送り手の発信が受け手に届かないこともある。送り手とは即ち企業や組織、個人であり、受け手とは顧客である。その媒体となるものには、商品、人、情報がある。ノイズは競争や風評を意味する。経営学は送り手の視点から交換の効率性を分析するものであり、家政学は生活者の視点でこの活動を考察し、経済学は全体を俯瞰する。マーケティングは、受け手の分析を通して、媒体となる商品・人・情報を発想するものである。
物事を分析するに当たり、視点・視野・視座と言われる。視点は切り口やフレームと言われる。視野は幅広い知識を有し常に更新していること、視座とはどちらの方から物事を分析するかという立ち位置を表す。当然、コンサルタントはこの3つを提供できなければならない。逆にコンサルタントは答えを教える者ではない。答えは現場にしかない。又、分析には理論と経験という概念もある。経験だけでは過去の事例が現在の状況に当てはまるか不明であり、理論があればそれを裏付けることができるという関係である。
マーケティングは別の視点から定義することもできる。即ち「主役を決め、物語りを決める」ことである。主役、即ち対象顧客を定め、その人或いはその人達の物語の中に登場する商品・サービスについて考える。主役が男性だったら女性だったら、はたまた青年だったら壮年だったら、その物語は異なり、当然そこに登場する商品・サービスの登場の仕方や、主役との関係は異なる。
現代社会は、成熟化社会と言われる。情報化、ボーダレス、選好消費社会、関係模索社会ともいわれる。総じてみると、価値観の多様化、情報取得が容易、他の分野との連携が活発、自分だけや自分の価値観を大事にしながら、他者との繋がりを求める時代と言える。消費者の変化で考えると、1.群れていながら集団的意思決定を行わず個別意思決定、2.流行を取り入れるファッションではなく自己表現と一体となったスタイルの尊重、3.価格と品質のバランスによる判断の3つが大きな流れとなっている。