社員のモチベーション向上(2): シチュエーショナル・リーダーシップ

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前の記事で、「退職理由のホンネランキング」をご紹介した。今日はそれに沿って具体的な対策を考えていきたい。勿論、この調査は100%の信頼性が保証されている訳ではない。従って一般的にありがちな退職理由について、対策を述べた程度に考えてほしい。

■ 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった

まず、今現在のあなた自身は、社員と同じ年齢だった時の自分から、 一緒に働きたいと思ってもらえる存在であろうか。 前回の記事で、仕事を続けるかは社員の判断に委ねられていることをお伝えした。 考えてみれば、もし社員と同年齢だった際の自分が、現在の自分と働きたくないなら、 社員が会社を離れていく理由にも納得がゆく。 倫理規範、言動の一貫性、取引先や周囲の人間に対する態度、 全てが社員からの評価の対象となる。 経営者のあなたは人から見られる立場にあり、 自分に近い人ほど、自分を厳しい目で見ていると考えるべきである。 自分に説明できない、納得できないようなことをしていないか、 再度確認してほしい。

又、あなたのリーダーシップが社員に通用しなくなっている可能性もある。 リーダーシップには色々な考え方があるが、元々はリーダーの特性を明らかにするところから始まった。 そして、特性からリーダーの行動へ研究対象が移ってきた。 しかし、これらの古典的理論はリーダーの特性や典型的な行動が状況に応じて 必ずしも成果に繋がらないというこで批判された。 1960年代以降は、状況に応じてリーダーシップも異なるという考え方が主流となった。

P.ハーシーとK.ブランチャードは シチュエーショナル・(Situational Leadership)を提唱した。 この理論は、意欲と能力からメンバーを4つに分類し、 それぞれに対して適切なリーダーシップの在り方を示唆したものである。

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この理論では、意欲も能力も低いメンバーに対しては、具体的に指示し、行動を促す教示(指導)型リーダーシップ、意欲は高いが能力は低いメンバーに対しては、こちらの考えを説明し、疑問に応えながら、共に仕事を行う伴走(コーチ)型リーダーシップ、意欲が低く能力は高いメンバーに対しては、自立性を促すため激励したり、相談をしながら考えを合わる相談(カウンセリング)型リーダーシップ、意欲も能力も高いメンバーに対しては、権限や責任を委譲する委任(エンパワメント)型リーダーシップが有効であると唱えている。

考えてみれば当たり前の理論ではないだろうか。 意欲の低い若手社員には一つ一つ指導して仕事をさせなければならないだろうし、 意欲の高い若手社員には仕事のやり方を教えてあげるのが良い。 意欲の低いベテラン社員には丁寧な意思疎通で考え方を理解してもらう必要があるだろう。 意欲の高いベテラン社員には当然、経営陣の一人として管理職に取り立て、 仕事をしてもらった方が良い。

特にあなたが創業者であれば、会社の成長とともに適切なリーダーシップの在り方も変わってくる。 ご存じの通り、創業期にはまず会社の存続が第1であり、 自分がとにかく積極的に動き、売り上げを作らなければならない。 一緒に創業した仲間の意欲・能力は高く、社員の意欲・能力は低いので、 仲間に対してはほったらかし、社員に対してはいちいち指導するのが一般的によくあるパターンだ。

会社が成長期になると、一緒に創業した仲間にはマネジメント能力が必要となるが、 創業期に活躍した人間が必ずしもマネジメントが得意とは限らない。 社員は後から入社した方が優秀な人材が揃いやすく、 当初からいた社員の能力との不調和が生じるだろう。 幹部に対しては共にマネジメントを考えたり、 新しく来た社員にたいしては、相談型のリーダーシップを取る方がうまく回る。 逆にマネジメント経験のない幹部に対してマネジメントを任せきりにしたり、 中途採用の社員に対して指導型リーダーシップを取ろうとすれば、 上手く行かない場合が多いだろう。

人を動かすより、まず自分が変わることが簡単だと言われる。 従業員の動きが自分の想定と異なる場合、まず経営者である自分の行動を省みるの良い。

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