事業承継においては、経営権の承継も一つの課題になります。種類株式は特定の株式に対する権限を強化することができ、金銭的に多額の出費が無くても経営権を承継できます。親族外承継(相続人以外への承継)を考える場合には有効な方法の一つになるかもしれません。
株主総会における決議権だけに絞って考えてみると、少数の株式に強力な権限を与える制度(種類株・属人的株)がある。
これを新社長に譲れば、株主総会での決議を左右することができる。
種類株式につけられる権限・制限は次の9種: 配当に関する優先株・劣後株、残余財産分配に関する優先株・劣後株、議決権制限株式、譲渡制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式、全部取得条項付株式、拒否権条項付株式、選任条項付株式
当社の理想的な経営の在り方を考え、種類株式として設計する。
例えば・・・
既存の株主の権利はそのままに、承継者は任期途中での役員解任を拒否することができる。
(拒否権付種類株式(黄金株)の登記記録例)
発行可能種類株式 A種類株式 1000株
B種類株式 1株総数及び発行する各種類の株式の内容 1 種類株主総会の決議を要する事項に関する定め
当会社の役員解任をする場合においてはB種類株主の株主総会の決議を経なければならない
手続き: 株主総会における定款変更の特別決議
メモ
一株だけなので承継者の金銭的負担が最小
道義的に全ての株主に対して事前に同意を得ておく
譲渡制限会社においては属人的株式もある。(種類株以上に自由度が高い。但し株主総会で3/4の賛成が必要)
権利が分散することでお家騒動になる危険性がある。
権利が強力な株式が他人の手に渡ってしまうリスク
勿論、承継者により強い権限を付与することも可能
会社の経営権の理想像を決めることが、種類株設計の要点