新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。 昨年は格別 の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
2015年を通じて印象に残っているのはマクドナルドとシャープの苦境です。 一方は飲食業、一方は製造業と業種は違いますが、 大幅な赤字を計上し、なかなか改善の見通しが見えてきません。 これについて思い起こされるのは「ビジネスモデルの劣化」です。 企業の衰退の原因の一つはビジネスモデル、収益構造が古くなってしまうことにあると言われます。 昔は儲かっていたことが今は儲からなくなってきた。 その原因は社員の頑張りが足りないことではなく、 市場縮小や競合動向に原因があるのかもしれません。 特に一般消費者を対象とした事業では変化の速度が速く感じられます。
一旦、市場が縮小しだすと、その環境での改善は非常に厳しいものがあります。 赤字拠点の閉鎖を行うにしても、解雇された方は求職活動に困難が予想されます。 設備投資や新規事業を行うにしても手持ちの現金になかなか都合がつかない、 賃金制度の改定をしたくとも不利益変更と見なされる危険性が高くなります。 マクドナルドにしてもシャープにしても次の時代の収益を担う新しい業態、技術が見えなて来ないところが、 先行きの不透明感を強くしていると感じます。 業績が好調な時ほど、大きな改革を行い、 市場縮小期に耐えうる体力をつけたり、 新しい成長の軸として新規事業を育てたりする必要があるのではないでしょうか。
私の支援した企業も、店売りはWeb通販の台頭で縮小傾向にあり、 各種制度改革の遅れ、新規事業の不在が企業の存続にも大きな影響を与えるまでになっています。 この状態では軟着陸(ソフトランディング)は難しく、 身を切る改革が不可避の状況です。
中小企業の事業を見渡すとその多くが属人的な収益構造を持っていることが多くあります。 例えば小売業であれば、コンビニなど、比較的接客が簡単な事業には皆大手企業が進出しています。 一方、接客に手間が掛かる小売店は中小企業によって担われています。 これは、大手企業が資本を背景に設備投資、システム投資によって収益を生む事業形態を採るのに対し、 中小企業では労働集約型の事業を行うことで棲み分けられていると考えられます。 つまり、中小企業では人の使い方が常に大きな課題となります。
私としては、引き続き、抜本的な構造改革に挑む経営者のご支援とともに、 現在業績好調の企業に対しては、将来を約束された経営の仕組みとは何かと年頭に、 今一番すべきことを経営者の方とともに考えていけたらと思っています。 将来的な成長を約束する経営の仕組みとして、社員・従業員をどうやって動かしていくか、 経営者との対話を通じてご意見を頂戴しながら、 ここに対する私なりの回答を積極的に提案していく決意です。
本年も皆様にご満足頂けるサービスを心がける所存ですので、 何とぞ昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。 皆様のご健勝と貴社の益々のご発展を心よりお祈り致します。 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
平成26年 1月 3日 Initiatives L.L.C. Tokyo, 杉野洋一