借金は「悪」か


個人会計(家計)、企業会計、国家会計

会計はその対象となる主体によって、個人会計、企業会計、国家会計等がある。個人会計は単月の収支の黒字を目的とし、企業会計は投入したお金に対する利益を目標とし、国家会計は発行したお金が経済主体間を回る中で総付加価値を如何に増やすかを目的とする。

個人会計は一般的な人々の会計であり、多くの人に馴染みが深いのではないだろうか。個人会計の目的は最終的には単月の収支、収入-支出がプラスになることである。即ち毎月の貯金がいくらできるかを中心に考える。このプラス(貯金)の中から臨時に掛かる費用、レジャーや住宅購入時の頭金等に充てる。単月の収支のプラスが少ない場合には収入を増やすか、支出を減らすしかない。借金は金利分、ある支払いの総額が増えること、単月収支に影響を与えることから、ない方が良いと考えられる。勿論、現預金から支払えない程、高額の商品については、借金をせざるをえない。この場合でも月々の返済が、単月の収支を圧迫しない範囲に収める必要がある。

企業会計

企業は通常の企業の会計であり、その目的を投下した資金がいくら増えたかに置く。この、どのぐらいの割合で増えたかをROA(Return On Asset:総資産利益率)と呼ぶ。企業は出資・融資・事業運営で一時的に手元にあるお金を使って、収益を産む。

理論上借入を行った方が良い場合

理論的には、借金はその利息がROA未満であれば、積極的に行い、事業を拡大する余地がある。利率がROA以上であれば、利息の支払いは収益を圧迫し、ROAを減少させる。言い換えると、借金をしても利息以上にお金が増えるのであればそれで良いし、利息以下のお金しか得られないのであれば、やめた方が良いと言える。

実際の借り入れ可能額

理屈上は利息<ROAであれば借り入れを行った方が良いことになる。但し、実務上は元本返済があり、その分も含めて考えないと、資金繰りに行き詰まることになる。例えば、100万円借り入れ、5年返済、金利2%とすると、大まかに計算して1年で22万円(=100万÷5年+100万×2%)の支払いが必要となる。当然、返済期限が伸びれば1年辺りの元本返済額は減るので、資金繰りは楽になる。

企業会計の特徴

企業は、個人と違い、生物学的な寿命がない為、借金に対して利息の支払いを行い、倒産する危険性が低いのであれば、返済については金融機関からそれほど煩く言われない。貸す側から見ると、個人の場合は寿命がある為、寿命までに全ての借金を回収する必要がある。しかし、企業の場合は寿命はない為、利息の支払いがあり貸し倒れの危険性が低ければ、必ずしも融資を回収する必要はない。逆に言うと金融機関は返済よりも、貸し倒れの危険性を注視している。貸倒れの危険性によって、銀行の手元に残しておく資金の額が変わってくるからである。

運転資金と(設備)投資資金

一般的に受注能力が高い場合、生産能力・サービス能力の向上によって収益が見込める場合には、借入を行ったとしても、それ以上の収益を生む可能性が高いと言える。受注能力が低い場合は、生産能力・サービス能力を向上したとしても売上にならず、利息の返済も苦しい結果となる。これは投資の失敗とよく言われる。例えば、観光需要を見込んでホテルを建てたが、思った程、お客さんが来なかった場合を考えると分かりやすい。運転資金の需要で借入を行う場合、即ち売掛金や在庫の費用が足りず借り入れを行う場合もそれ自体が収益を産むわけではないので、なかなか返すことが難しい。



関連記事