経営理念の理屈は分かったといっても、実際の例がないと中々ピンとこないことも多いかと思います。ここでは参考となる経営理念、経営ビジョン、社是、社訓の事例、サンプルを纏めてみました。厳密にいえば経営理念でないものも含まれていますが、参考になるものは掲載しました。
経営理念を策定しようと思っている方は下記の記事もご参考ください。
リクルート:自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ
社員としてすべきことを分かりやすく言っている。新規事業に対する積極性が理解できる言葉。
Google: Don’t be Evil
経営理念ではないが、有名な標語。IBM、Microsoft等、米国のIT大手は急速な成長の果てに司法当局との訴訟を抱えることが多い。これに手間取ることにより、変化が速い市場で迅速な経営判断が難しくなる例があった。Googleはこれらの轍を踏まなかった。
Microsoft: 世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること。
これもカッコイイ言葉です。昔は個人用も視野にあったようですが、今はビジネス用途が主な対象市場ということでしょうか。社員に対しても顧客に対しても分かりやすいです。
トヨタ自動車: ムダ・ムラ・ムリ
こちらも経営理念ではないが、生産現場で排除すべき事柄を言い表した言葉。トヨタの強みは、こうした概念を日頃の改善活動の中で現場に定着させることができたことであろう。
HONDA
常に夢と若さを保つこと。
理論とアイディアと時間を尊重すること。
仕事を愛しコミュニケーションを大切にすること。
調和のとれた仕事の流れをつくり上げること。
不断の研究と努力を忘れないこと。
ホンダらしいと思えることは、HONDAがこうした理念を社内だけではなく、社外に対しても事業の中でアピールしていることを表している。最近の自動車や二輪車のラインナップを見ていると、市場環境と理念の両立は難しいことを感じる。
ランサーズ: 時間と場所にとらわれない、新しい働き方を創る
会社として何をするかを明確且つ簡潔に言い表している。こういった内容であれば、顧客、社員にも共感してくる人が多いのではなかろうか。こちらもニュースでクラウドソーシングはワーキングプアを量産すると報道されており、理念の実現には程遠い状況である。
日本オフィスシステム
お客様に「信頼」される会社
「健全」な経営をする会社
社員の「夢」を実現できる会社
顧客、経営、社員のそれぞれでどんな会社かを述べている。この会社では採用面接時に「夢」について聞かれるのであろうか。
HUB
正直な経営
着実な経営
常に変革する経営
従業員重視の経営
経営者のコミットメントを示したことば。経営理念として、社員に対してあるべき人物像を述べるものが多い中で、経営者として何をするかを示したのは立派。
VOYAGE GROUP: 360°スゴイ
全てにおいて圧倒的であることを示したことば。非常に分かりやすいところが良い。経営者の意気込みが伝わってくる。
株式会社ドリームシアター:
一部の分野で、クライアント(お客様)の一番になる。
一番最初に、思い出してもらう。
会社として顧客にどう接するかを社員に向けて述べた言葉。今後の事業展開における戦略を述べている。
株式会社SKY
最後までやり遂げ、顧客の期待に応えます
最大限に能力が発揮される全員参加の組織を目指します。
一歩一歩着実に社会に必要とされる商売を追求します。
どういった「商売」を行っていくのかを言い表しているところが珍しい。なかなか「商売を追求」するとは書けないもの、そこに焦点をあてている。
明治電気工業: 日本の「ものづくり」を強くする。
事業の方向性を端的に言い表したことば。簡潔で力強いところが良い。
青山学院大学: 地の塩、世の光 The Salt of the Earth, The Light of the World
青山学院大学のスクール・モットー。地の塩は目立たずとも汚れを清めること、世の光は希望と励ましを表している。私個人としては地の塩は人材のこと、世の光は研究のことと思ったが、両者とも人材のことらしい。
サンドラッグ
経営の理念・一隅を照らす。
経営の姿勢・三方良し。
経営の使命・安心、信頼、便利の提供。
経営の手段・一歩先を考え、半歩先に行動する。
「一歩先を考え、半歩先に行動する」というのが良い。
Oro
社員全員が世界に誇れる物(組織・製品・サービス)を創造し、より多くの人々(同僚・家族・取引先・株主・社会)に対してより多くの「幸せ・喜び」を提供する企業となる。そのための努力を通じて社員全員の自己実現を達成する。
「社員全員が世界に誇れるものを創造」という一節が素敵。
ドウシシャ: つぶれないロマンのある会社
経営における攻めと守りの両方を言った言葉。会社には確実性と成長性の両方が必要。
ARCMEAL
「楽しかった、又くるよ!」とお帰りになることが私たちの幸せ
到達点のイメージが明確になっているところが良い。ここは飲食業だが、敢えて「おいしかった」ではなく「楽しかった」としているところが独特。
IGNIS: 世界にインパクトを与えなければ、気がすまない
これも創業者の意気込みを感じます。
如何だったでしょうか? こんないい経営理念を知っているよというのがあれば、是非私にも教えてください。