3. 営業管理(マネジメント)の充実
3-1. 営業管理
管理とは予実差異へ対して実効ある対策を打つことである。
行動と結果のデータが定量的に取得できているか?
責任者がデータを把握しているか?
予実差異に対して対策を打てているか?
○ 上記3つをまず重点的に考える。
結果が見えるからこそ、改善ができる
総額のみで行動に結びつかない目標には意味が薄い。行動に結びついてこそ、結果を変えられる。従業員は通常、自分の行動に関係がない指示では動けない。
結果が直ぐに見えない努力は難しい。Ex, ダイエット。結果がなるべく早く見えることが改善に繋がる。
能力と言う抽象的なものを考えないこと。単に認識の違いになりがち。上司から部下へ「能力が低い」ことを指摘すれば、部下の意欲をそぐ。それよりも客観的且つ具体的な数値をどう変えて行けるかに注力する。
行動量の問題か、確度、平均単価の問題かを切り分ける
「売上 = 行動量 × 確度 × 受注単価」と捉え、まずは行動量の問題か、それ以外の問題かを切り分ける。
又、全行動量は「所要時間×回数」で、これが実際稼働時間(総労働時間-余裕時間)を超過することはできない。従って一つの行動プロセスの所要時間を短縮することを検討する。
一般社員・若手社員には行動の責任だけを追ってもらう。もし行動を結果に結び付け、改善を行っていける人材がいれば、管理職候補、或いは真のプロフェッショナルと言える。結果の責任を負わせても、打つ手立てがない為、上手く行かず、意欲低下をもたらすだけ。
行動とは?
例えば、① コンタクト → ② 関係構築 → ③ 差別化提案 → ④ 見積もり提示 → ⑤ 受注
ある営業プロセスの所要時間が長い場合には、短縮できないかを検討する。Ex, 電話で説明 → 電話・資料送付・電話 に変更する。
自社の営業方式、営業スタイルから適切に営業プロセスを定義する。
係数とは?
確度と受注単価
例えば、案件化率、見積もり提出率、成約率、平均受注額 等
経営者・管理職で施策を考え、個別の数値を上昇させることを考える。
3-2. 行動と係数, 営業プロセスのフロー
行動と係数を管理する
行動と係数がはっきりしてくれば、自ずと営業プロセスの流れ(フロー)は出来上がる。行動の順序が営業プロセスの流れ(フロー)であるからである。
例:
例えば、営業担当者数8名、月間目標受注額=5000万円、平均受注単価=200万円のある会社
その会社の営業プロセスを簡潔に分解すると、(1) 初回面談(1.5時間)→ (2) ヒアリング(2時間) → (3) 提案・見積り(2時間) → (4) 受注(1時間) 、という4つの過程となる。これが営業プロセスの流れ(フロー)となる。
初回面談からヒアリングに至る「案件化率」=20%、ヒアリングから提案・見積りに至る「見積率」=80%、提案・見積りから受注に至る「成約率」=30%
前提として、商談期間は1カ月以内、1カ月間の 営業稼働日数は20日間、各プロセスにおける必要訪問回数は1回とする。
問題
Q: 月間目標売上高を達成する為に必要な1週間当たりの初回面談件数を求めよ
Q: 営業担当者一人当りの週の必要労働時間を求めよ。
Q: 改善に取り掛かる優先順位をつけよ。
3-3. 行動管理
Answer
下記の表を参考
この条件だけで改善の方向性を付けることは難しいが、初回面談→ヒアリングが20%と極度に低い。ここは容易に改善できそう。
売上方程式
売上をつくる要素を定量化したもの。行動と係数に分けて考える。
Ex 「既存客継続」「既存客追加」「新規客」
「従来商品」「重点商品」「新商品」
「テレアポ」「訪問」「見積り」「提案」
管理とは行動がなされているかの管理と係数を上げる為の努力
総額目標だけでは、未熟練の営業担当者には不充分
行動の責任は個々の営業担当者が追い、係数の責任は管理職が追う
「形」から入ることを徹底する。
個別の係数を具体的にどう上げるかを考える。
Ex, 初回面談→ヒアリング: リストが不正確、台本の改善、元々関心のある人に来てもらう工夫
提案・見積もり→受注: 競合との差別化、競合動向の調査、提案内容の強化
3-4. 営業プロセスの可視化
営業プロセスの可視化
やるべきことの洗い出し
営業対象のリスト化から受注までの行動
各プロセス毎にゴールを明確に
各プロセスのゴールが最終的に受注になるように
Ex, 情報収集であれば、何を聞ければ良しとするか 見積もり提出であれば、評価まで聞くか、 他社情報の収集までか
重要、困難なプロセスはツール化
話の流れを資料に纏める。
コスト比較、デモ案内、説明会。。。
営業プロセスの進捗管理
計画受注日で絞り込み当月予算を確認
営業担当者には表の更新を徹底させる。
14日以上の間隔が空いている案件は進捗が滞っている。
ただ単に営業担当者が行っていないだけか、それとも何か気掛かりがあり行けていないか。
担当で絞り、当週案件が少ない担当は活動量が不足している。
上記と同様にサボっているのか、他のことで忙しいのか、日報・業務量を確認する。
プロセス間で日数が空いている個所は改善の機会
相対的に常に期間が空きがちなプロセスは何か問題がある可能性がある。
自社にとっての顧客ランクで絞り、高いランクの顧客への活動量を把握
営業担当者が自分が行きやすい顧客にばかり訪問していないか、会社が定めた顧客ランクと訪問量を満たしているかを確認。
3-5. 運用&管理職の育成
管理職に丸投げでは解決しない
管理は管理職の仕事。但し、「今までできなかった原因」をよく考える必要がある。今までできなかったのだから、本質的な原因を潰さないと自律して動けない。
知識不足・能力不足 → 管理職研修
仕組みが無い → 仕組み構築
その他 → ?
経営者の本来の仕事ではないので、管理職が自律的に行えるようにすることが目標
社長が仕組みの導入を決済する
短期的な改善効果の為には上からの指導が効果的。
全体最適の視点が必須
仕組みが動いているかを確認する
管理職が予実差異を把握しているか。
管理職が予実差異に対策を取っているか
最初は月に2回程度。上手く行っているようであれば、月に1回。業績が厳しい際には週に1回。
管理職の育成
管理職の役割
予実差異に対する実効性のある対策を打つ
会社の長期ビジョンに沿って人材育成を行う
責任追及は一切不要。予実差異に対してどうするか、それだけ。
仕組みの運用
売上目標 → 行動目標 → 行動計画
行動 → 行動評価&係数評価 → 対策立案 → 決裁 → 対策実行