財務計画 要旨
再び技術的な内容に戻ってみます。 財務計画は前回決算を元にし、売上増加に伴って増加する費用(変動費)、 売上と関係なく発生する費用(固定費)とで勘定科目を分類します。 固定費は更に人件費とその他経費に分類し、人件費は上昇率を見込みます。
固定費・変動費
財務計画は、前回決算の内容を元にします。 まず、損益計算書(P/L)の中から売上に対する連動科目を抜粋します。 固定費、変動費というのを聞いたことがあるでしょうか。 売上に連動する費用を変動費と言います。 通常、売上原価に含まれている仕入や製造原価は変動費になる場合があります。 ある会社では電気を大量に使う為、燃料・動力費が変動費である例もあるそうです。 但し、人件費は別途考えます。 他にも支払手数料や運送費、梱包費等が変動費になります。 細かく考えていくとキリがないので、大まかに考えます。
固定費 – 人件費
人件費は役員、正社員、契約社員、時間給従業員(パート・アルバイト)に対して 支払われるお金です。 通常、人件費は全て固定費になるのですが、 複数店舗を展開していてパートさん、アルバイトさんの給与は売上に比例するとか、 工場でパート・アルバイトに多数働いてもらっていて売上に比例する等の場合は、 変動費に入れても構いません。 最終的には社員全てが変動費になることが望ましいのですが、 完全には困難です。 管理部門も必要ですし、正社員を中心とした中核社員はやはり会社の活力です。 又、業績連動型の賞与を導入している企業では、 賞与も変動費になるかもしれません。
人件費 上昇計算
人件費は定期昇給がある場合、即ち年功型の賃金制度を取っている場合には、 現行人員の人件費の上昇率を計算しておきます。 又、昇給も経営目標の中に入っている場合が多いかと思いますので、 その分も考えておきます。 やはり、従業員から見て経営者が自分たちのことも考えていてくれるというのは、 大きなモチベーションに繋がります。 一般的に昇給が物価上昇率(インフレ率)より低い場合には、 実質賃金は値下がりしている状態です。 最低でも予測される物価上昇率以上に平均給与が上がるようにしましょう。 ここ20年のトレンドを見ると、1%程度見ておけば大丈夫ですが、 消費税増税があったりすると一気に物価上昇をします。
財務計画 試算
前回決算の内容を複写し、 目標となる売上高を入れてみます。 次に変動費を売上に合わせて変えてみます。 人件費も計画に従って上昇させます。 これで経常利益を計算してみます。
・・・・・・・・いやはや、こんなに儲かったらスゴイですよね。
財務数値の増減
ところが、企業の売上は受注能力と業務遂行能力で決まってしまいます。 受注能力は営業力と言い換えると分かりやすいかと思います。 業務遂行能力の方は業種毎に、生産能力、処理能力、作業能力と言ったりします。 つまり仕事をする能力の事です。 簡単に言うと、仕事を取ってきても仕事を終わらせる能力がないと売りあがらないということです。
もし、目標となる売上に対して、現状の受注能力と業務遂行能力が不足しているなら、 その分の増加を勘定する必要があります。 受注能力の方は重点施策策定の段階でかなり綿密にお決めになっているかと思います。 例えば営業担当者を増やすであるとか、新規出店を行うとか等になります。
もし売上を増やしていくにあたって確固としたアイディアがなく、 ご自分で具体性が乏しいと思うなら、売上方程式を作ってみることをお勧めします。 前に「売上方程式: 売上を増やすには?」という記事を書きました。 文末にリンクを載せますのでご参考ください。
業務遂行能力に関しては、製造業の設備投資を行うなども、 まとまったお金が必要になりますので、まず先にお考えになるところかと思います。 いずれの業種でも、業務遂行能力に関しては、 売上増加に伴った業務量の増加を業務改善で乗り切れるか、採用が必要になるかという視点で考える必要があります。 業務改善を行うなら、社内でプロジェクトチームを立ち上げる、コンサルを雇う等、 何らかの施策が必要となりますし、 採用を考えるのでしたら、その分の人件費を追加します。
人員増加で場所が足りなくなることも考えられます。 充分な空間がない場合には、引っ越し費用や新しい家賃も勘定します。
減価償却費
基本的には業務改善や改善活動を行い、生産性を向上させた方が、 給与も上げられて良いのですが、限界もありますし、 システムや設備が必要になる場合もあります。
設備投資を行った場合には、購入金額を償却年数で割って、年額を減価償却費に加算します。 cf. 国税局「耐用年数表」
ここまでで仮の損益計算書を作ります。