問題解決技法


問題解決はマネジメントの一機能である。

マネジメントの基本的な使命は、目標達成と組織存続である。目標達成には、資源配分・活用と進捗管理、そして組織存続には動機づけ・人材育成等のメンバー管理とリスク回避などがある。マネジメントが使命を遂行しPDCAを回す上で現状と理想の間で差異が生じ、これを解決する必要が発生することがある。問題解決はマネジメントの一機能である。

組織目標達成の為に、各部門に与えられた目標はそれぞれ異なる。例えば製造部門を考えてみる。製造部門では品質・費用・納期・安全の面を目標とすることが多い。又、経理部門では経営判断の為の材料提供やリスク回避をその目標に挙げることもある。組織目標を常に意識しながら、目標と手段を取り違えないことが大切だ。

(CS)経営を目指す組織では、逆さまのピラミッドを意識する。これは、顧客を一番上に置き、次に、第一線従業員、管理者、そして経営者を一番下に置く、三角形である。目標設定に当たっては、まず対象を意識することが最重要となる。

顧客の視点で価値を判断することも大事である。顧客にとって価値が有無、組織にとって価値の有無に基づいて、業務を分類する。顧客にとって価値がなく、組織にとっても価値がないものは勿論業務として成り立たないと思われる。顧客にとって価値がなく、組織にとって価値があると思われている業務は、「顧客のムダ」と言われる。前例踏襲などで継続されているのだろうが、これは本来の目的となりえない。

優れた問題解決を行うために必要な要件は、当事者意識、諦めないこと、そして考える力である。一例をあげれば、かつてセブンイレブンでは現場の店長に発注を任せていた。又、ローソンでは本部発注を主に行っていた。セブンイレブンでは店長が自ら考えて発注を行うことで発注精度に差が生じ、業績にも影響があったといわれている。

問題とは、基準からの逸脱、或いは目標と現状との乖離から発生する。

問題解決に当たっては次の3つの思考が必要となってくる。即ち、ゼロベース思考、ポジティブ思考、仮説思考である。必ず解決可能であると信じながら、一旦全ての既成概念を取り払って最善の策を模索し、何らかの仮説をもって行動することが問題解決の思考方法となる。

問題解決の過程は、1.対象の手順・流れを理解する、2.一から様々な解決手法を発送する拡散的思考を行う、3.問題を整理し、原因を追究する収束的思考を行う、4.周囲を巻き込み、現実を変革するの順序を取る。

コミュニケーションにおける論理的思考とは、1.相手を理解する、2.自説を持つ、3.伝える力を持つの3点が重要である。

伝える力という面では、メンタルモデルが活用できる。このモデルでは、人間は自分の既存の知識・経験を元に状況を理解しており、理解がうまくできない際には又別の知識・経験を元に理解の再構築を行うというものである。従って、1.全体像を示す、2.番号を振る、3.見出しをつける、4.順序を規則的に示す等の方策が分かりやすさに直結する。

問題解決の技法にはマトリックス法、ブレーンストーミング、(KJ法)、ロジックツリーなどがある。これらを「ツール」と呼び、問題整理の切り口を「フレーム」と呼ぶ。フレームには一般的に、4P、3C、4M等が使われる。

ロジックツリーは、思考を木構造に整理したものである。結果とその原因という因果関係を記述する原因結果型と、目的とその手段という関係で記載する目的手段型がある。

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