4. 営業の仕組み作り
4-1. 営業の類型
顧客ニーズの潜在性による営業の分類
陳列営業
商材を見せて購入を促す。顧客に強い要望がある際に有効。顧客にどう来てもらうか、顧客にどう見せるかが課題。小売業など。
御用聞き営業
顧客に要望が生じる時期をこまめな連絡で把握し、その時機に営業する。顧客との関係をどう築くか、要望が生じる時期をどう把握するかが課題。
提案営業
顧客の要望を把握し、自社商材で提案を行う。顧客の要望をどう掘り起こすか、提案がどう顧客にとって価値となるかが課題。
コンサルティング営業
顧客の要望を把握し、複数の提案を行う。顧客との関係強化、マネタイズが課題。主に複数のソリューションを持つ大企業、人材やシステム開発等そもそも一品モノの商材を扱う企業
顧客が来店 | 顧客へ訪問 | ||
---|---|---|---|
商材 少数 | 商材 多数 | ||
ニーズが顕在 | 陳列営業 | 御用聞き営業 | コンサルティング営業 |
ニーズが潜在 | NA | 提案営業 | ? |
例えばあるECサイトでは
陳列営業: Webサイトに商品の一覧を載せ、検索機能を付ける。
御用聞き営業: 定期的にニュースレターを発行し、リピート購入を促す。
提案営業: 顧客の要望を類型化し、その為の商品紹介ページを作成する。
コンサルティング営業: 顧客の嗜好を集計、分析し、お勧め品を紹介する。
営業の方式は固定的なものではなく、その時と場合によって使い分けることができる。
有りがちな課題
顧客が自社の商材を知らないのに御用聞き営業を続けている
↓継続は取れるが新規が取れない
↓新規顧客や既存顧客への深耕営業の確立、提案力の強化による能動的な営業活動が課題
顧客のニーズを把握しないまま、陳列営業を続けている
↓一方的なPRになっている
↓顧客からの信頼度低下 ・ 低い営業効率が課題
4-2. 提案力強化策
提案営業の流れ
※ 自社商材の説明から入れば売れない
顧客は商材には関心がない。自分がどう変わるか、自分の仕事・生活がどう変わるかに関心がある。 = 顧客の関心事から入らないとうまくいかない
顧客は売り込みを嫌う。自分で選択した結果というのが大事。=まずは聞くことが大事。顧客は自分の関心事について話したがっている。
優秀な営業担当者は「顧客の関心事の把握」と「顧客の具体的な理想像の提示」をうまくやっている。但し、個々の営業担当者の能力開発や知識の共有に期待するのはキケン。=優秀な営業担当者にとって何が良いかを教えるのが難しいから。若手の営業担当者にとって自分に何が必要だかわからないから。
提案型資料作成
顧客の関心事を予め書き出しておく。
営業現場では顧客に選択してもらっても良い。
業種や職種毎に作成し、面談相手に適したものを利用
関心事を解決・達成できた事例を資料に纏める。
事例紹介は商品の紹介ではないことに留意。
事例紹介は納得性が高く、顧客が具体的なイメージを湧かせやすいものとする。顧客にとっては買った後が大切
顧客の変わりたい、変えたいという気持ちを大事にする。
事例内で商材がどういう役割を果たすかをまとめる。
ここは簡単で良い。
差別化の要素を盛り込む。
ここまでは売り込みは一切しない。顧客が具体的なイメージが湧いた段階で、背中を押してあげる。
資料には次の段取りを明記。
内容は一番優秀な営業担当者に聞く。
まず、カタをつくる。カタから入って、精神は後からついてくる。
4-3. 提案力強化策の要点
断られにくい
顧客の関心事から始まるから
事例紹介なので有益であるから
事例紹介を聞くだけので秘密主義を突破できるから
関心事を把握できる
提案営業で一番難しいところ。心を開かせるのは大変。
営業担当者にとっても何を提案すれば良いか分かりやすい
営業担当者が道に迷わない
関係性を構築した上で売り込める
一緒に関心事の一覧を眺めながら議論する → 事例を紹介しながら質問に答える → 売り込みがその後になる。
顧客参加型になっている
事例紹介で顧客がメリットをイメージしやすい
顧客は商材には関心がなく、今後の自分に関心がある
顧客のメリットを営業担当者が全て説明できる
マニュアルではなく、ツールなのでよく使われる
ノウハウの蓄積が簡単
必要な事しかないので、作成の手間が省略できる
仕組みなので誰でもできる
新人営業担当者でもできる。
4-5. 営業計画
訪問先の妥当性を会社が管理
顧客別 ABC分析
営業担当者は行きやすいところに行っている可能性がある
行きやすいところ ≠ 売上が上がるところ
営業担当者の時間配分を管理
顧客別ABC分析
本当に粗利が稼げているのかを厳正にチェック
購買力は自社商品と関連する部署の規模
Ex, 売上高 × 要員数 ÷ 総人員数
顧客別ABC分析は営業目標を策定する際に更新
顧客分類別に働きかけを決める
重点顧客への訪問回数
優良顧客・維持顧客への関係維持方法
その他顧客への電話営業。
顧客の組織を把握する組織図
顧客の決裁者、キーマンを会社として把握する。特に購買力が高い重点顧客に対しては追加受注の可能性がないかを検討する。
思い込みではなく、まず調査が大事
窓口担当者に話を聞き、簡単な組織図を作ってみる
紹介してほしい担当者にありがちな関心事を示し、担当者を紹介してもらう。
紹介してもらった担当者の分野(職種、業務等)を聞いておき、提案の骨子を事前に考えておく
商品の管理
粗利総額の低い商品は、廃番や値上げ、手間が掛からない仕組みの導入を検討。(但し見せ筋商品はこの限りではない)
粗利率が高くBランクの商品は重点商品として、拡販を図る。
粗利率が低くBランクの商品は粗利率を上げる方法がないか検討する。
4-6. 経営Vision & 戦略
3年後、5年後の目標を明確化
社長の頭の中にあるだけでは、多くの社員を動かすことができない。指示待ち社員が増加することになる。
目標はシンプルに。「売上?億」「地域No.1」等
目標は社員の給与上昇を盛り込む。売上が増加して嬉しいのは社長だけ。
目標を明確にし、現状とのギャップから今後何が必要となってくるか、何が足りないかを考える。
戦略
3C(Company, Client, Competitor)分析
競合と顧客の動向を見極め、自社の方向性を決定する
売上方程式を基に数字を変えてみる
数字の変更にはその裏付けとなる施策が必要。
受注能力だけでなく業務遂行能力も勘案する。注文書を貰うだけでなく納品しないと売上にならない。
顧客別で考えてみる
商品別で考えてみる